ウディネーゼの新監督

・オッド新監督

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ウディネーゼの監督をするという素晴らしい機会にとても満足している。高いレベルの設備を持っている野心的なクラブで、良い仕事をするために必要なものが全部揃っている。現時点でウディネーゼには個性的で将来有望な若手選手が非常に多く、それらの選手の力を最大限に発揮することに集中する。クラブは私のサッカー哲学を実践すること以外で特別な目標を与えていない。ピッチ上で見えるのは私の頭の中にあるアイデアの結果だろう。私はプリマヴェーラの選手も含め全員を見る。誰も排除しない。チームとして機能させるために個々の選手を最大限に活用する。私はウディネーゼと対戦するたびに素晴らしいクラブだと思っていたよ。」

「明日はみんな適正ポジションでプレーすることになると思うが、コーチの仕事は選手たちの能力を最大限に引き出すために適切な条件を作り出すことだと思う。私たちは一緒に過ごしたこの3日間で、みんな頑張って私のアイデアを受け入れてくれた。明日は試合を優位に進めるつもりだが、勇気を持たなければいけない。勇敢にプレーすることは対戦相手の強みを消すことを意味する。」

 

ウディネーゼデルネーリ監督に代えてマッシモ・オッド新監督を迎えています。選手時代にミランでもプレーしたオッド監督は、昨シーズンはペスカーラの監督でした。ペスカーラはなかなか勝てず、オッド監督は途中で解任されてしまいましたが、とても面白いサッカーをしていました。

カリアリなどもオッド監督に興味を持っていましたが、とりあえず再びセリエAで彼が率いるチームを見られるのが嬉しいです。トップリーグで結果を残していませんが、個人的にとても期待している監督です。いきなりナポリ戦なので厳しいですが、プレッシャーのかからない環境でどれだけやれるのか、とても楽しみです。面白いサッカーを見せてくれ〜〜〜。

ヨーロッパリーグ グループD ミラン-オーストリア・ウィーン

グループ突破がかかった試合。いつも通りスソ不在時はオーソドックスな3-5-2の布陣。

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前回対戦した時はラツィオ戦大敗後に3バックへと移行したタイミングで5-1の勝利でした。オーストリア・ウィーンの守備の緩さは国内リーグではあり得ないので参考にならないみたいなところはありますが、今回は『前で奪う』こと、そしてナポリ戦で指摘した『逆サイドに展開する』ことをポイントにして、すごく簡単になってしまいますが書きます。

・前で奪うこと(奪い返すこと)

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先制点を奪われたミランの同点シーン。いつものようにケシエがバイタルエリアで雑なパスをしてボールを奪われる。

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ムサッキオがここでボールを奪い返し、サイドにいるボリーニへ。

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逆サイドのR・ロドリゲスが完全フリー。ここまで完璧にフリーになれるのは相手の守備がめちゃめちゃ緩いこともあるが、瞬時にボールを奪いサイドに展開したことで相手はボールウォッチャーになった。

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ちなみに5点目のシーンでも、相手のスローイン時サイドに密集させてボールを奪うとロカテッリ→クトローネ、そしてアントネッリ→クトローネのワンツーで完璧に抜け出してゴール。モンテッラミランが前からボールを奪いに行く(厳密に言うと選択肢を奪う)スタイルなのは明らかで、4-3-3時代に取り入れていたポジショナルプレーでも重要なものだった。特にこの試合みたいに格下相手では必然的に敵陣に押し込んでプレーするから、ボールをすぐに奪い返して再びポゼッションする必要がある。僕も便利だからよく使うが、『ポゼッションサッカー』や『カウンターサッカー』というように簡単に分けることはできず、ポゼッション志向のミランによる見事なプレスからのショートカウンターでのゴールだった。

・サイドに展開すること

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ミラン3点目のシーン。ビリアから左サイドのR・ロドリゲスへと展開される。よくボヌッチがやってくれるパターン。

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ハーフスペースにいるR・ロドリゲスからA・シウヴァの頭を狙ったボールが入り、ボールは後ろにそれる。

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ボリーニが追いついてクロス、クトローネが頭で決めた。ビリアが展開したところから考えると、中央→左→右→中央と展開されたから、最後のクトローネを誰も見ることができていない。よりコンパクトなディフェンスをしてくるチーム相手にこうした展開ができるのは、ここ最近のボヌッチ、ビリア、ナポリ戦のモントリーヴォ、R・ロドリゲスなどで、さらにロカテッリやケシエが出来るようになれば嬉しい。

・クトローネとA・シウヴァ

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特に後半のクトローネとA・シウヴァのパフォーマンスは素晴らしかったです。リーグ戦でカリニッチがスタメンで出場しているのは、この3人の中ではいちばんワントップの役割をこなせる、A・シウヴァはローマ戦以外はパッとしないパフォーマンス、実質1年目のクトローネ起用は慎重にならなければいけない、などなど他にも様々な要素があってのことです。そしてカリニッチがいることで2人の競争意識もかなり高まっています。A・シウヴァはもっと試合に出たいと語っており、個人的にもシーズン中にカリニッチをベンチに座らせるくらい彼らが活躍してくれるのがいちばん嬉しいですが、A・シウヴァはほとんど何もできていないリーグ戦で結果を出す必要がありますね。心配なのは、「クトローネとA・シウヴァの2トップにするべき」という論調がメディアやファンの中に出てきており、またコロコロとシステムを変えさせるのか?というところです。クトローネとA・シウヴァの2トップはわりと機能する可能性も見えますが、スソを外して2トップにして結果が出なければどうせまた「なぜスソを使わないんだ」なんて論調になるだろうし、いろいろ難しいですね。2トップにするならするで、とにかく最低でも年内は同じ形で戦って結果を残して欲しいですね。

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そしてクトローネはワンランク成長している印象です。本当にベロッティみたいな選手になりそうですね。毎回のようにエンブレムにキスするのも最高ですね。めちゃめちゃ好きだ。

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ELで格下相手だけど大勝できたのは良かった。明日はもうトリノ戦なので忙しい。ベロッティが怪我明けから不調だし、トリノには絶対に勝っておきたい。頑張れミラン。 

ナポリ戦後のインタビューなど

モンテッラ

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「チームのパフォーマンスは素晴らしかったのでこれを維持していきたい。ただゴール前20メートルは改善しなければならない。」

「最後の20メートルで十分ではなかったが、我々はナポリに多くの問題を引き起こした。上位陣との最後の2試合だったナポリユベントス相手に互角に戦えていた。もちろん結果には満足していないが、我々は日々成長している。上位陣のパフォーマンスは素晴らしく、そのレベルに達するには忍耐が必要だ。」

「結果を得るにはプロセスが必要であり、私はチームが成長していると確信している。3日おきに試合があるのは難しいが言い訳にはならない。我々はなによりも結果が必要であり、その為にあらゆることに取り組まなければならない。試合後にはチームは改善しなければならない。」

「我々は試合の様々なシーンの解釈をする必要がある。我々はボリーニのような攻撃的な選手をウイングバックとして起用することで、スソをより自由にすることができる。ナポリの攻撃は脅威であり、引いて守っていてはナポリに有利な戦い方をすることになる。ナポリの攻撃を防ぐにはボールを保持する必要があった。我々はボールを保持することでナポリを疲れさせ、前方にスペースが生まれるのを待っていた。我々はスソを失い、様々な変更を余儀なくされたがボリーニは良いプレーをしていたよ。」

「新しい選手も多く、私は選択する必要がある。ナポリ戦は試合を作ることを考え、そのための選択をした。リカルド・ロドリゲスはほとんどの試合に出場しており、私はロマニョーリを選択した。2トップはすでに何回も試しており、それは試合によっては採用するだろう。ナポリ幾何学的なチーム構造を崩すことで、慣性を失わせることができる。」

「チームの目標について私は楽観的だ。シーズンの最悪な時期はすでに過ぎ去ったと感じている。我々はこれからさらに成長して、良い結果をもたらすことを確信している。そして最終的に4位以内でフィニッシュすることもね。」

 

ナポリ相手にボールを保持すること(ミランが支配率を上回る)、そしてナポリを走らせること(ナポリは平均より7kmも走っていた)は成功していたので、それがチームのゴールとして結びつかない(20メートルの改善)のが課題ということですね。ナポリは珍しくボール支配率を下回りましたが、それでも寄せ付けない強さがありました。

・食事会

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クトローネがチームをディナーに誘い、みんなにご馳走したそうです。最近の若い子は素晴らしい…。なにかキッカケになってくれればいいですね。地味にマストゥールがいます。

カラブリアと契約延長の噂

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ミランカラブリアと2022年まで契約を延長する可能性があります。スタメン選手の怪我でチャンスが回ってくるたびに自分も怪我をしちゃうカラブリアですが、契約延長となればめちゃめちゃ嬉しいです。

・怪我人の状況

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スソ→順調に回復しており、トリノ戦に間に合うようにする。

ロマニョーリ→インフルエンザ。すぐに回復するだろう。

アバーテ→筋肉の疲労。明日の試合はボリーニが出場するだろう。

カラブリア→ボールを使ったトレーニングを再開。しかし完全回復の時期はわからない。

コンティ→とても順調に回復している。遅くても3月には確実に戻っているだろう。 

セリエA第13節 ナポリ - ミラン

ここ数年勝てるイメージがまったく湧かないアウェイでのナポリ戦。ミランは4-3-3改である3-4-2-1でフォーメーションは定着してきた。今日はモントリーヴォがアンカーに入り、ロカテッリはインサイドハーフ起用。

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ナポリは前半からセオリー通り3バックの穴であるWB裏、CB横のスペースをインシーニェが使ってきます。

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前半31分、ナポリは自陣深くでジョルジーニョがボールを持つと縦のメルテンスへ入れてきます。

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本来なら中盤にマークを受け渡したいところ(実際何回かはそうしていた)ですが、ネガトラの動きが悪くムサッキオが引っ張り出されます。

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そうするとボリーニの裏に広大なスペースができてしまい、簡単に裏へと通されてしまいました。このシーンでは最後ハムシクのシュートがキーパー正面にいってしまい、ゴールを奪われることはありませんでしたが、そのあとすぐに同じ形で崩されてナポリに先制点が生まれました。

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アルビオルからメルテンスへと縦にパスが出ると、ムサッキオが引っ張り出されています。

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「これぞナポリ」というメルテンスジョルジーニョレイオフから、ムサッキオがいない広大な裏のスペースに走る3人目のインシーニェへ。

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一度はオフサイド判定になったもののVARでゴールが認められてナポリが先制点を取りました。とても素晴らしいゴールでした。

前半のミランの攻撃からこのシーンを取り上げます。ナポリに対してカウンターを仕掛けたいシーンです。

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ボナベントゥーラがドリブルで前に運びます。

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ボナベントゥーラからカリニッチへ、カリニッチからロカテッリへ落としました。

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ロカテッリは左方向へトラップ。再びボナベントゥーラへとボールを渡しました。このロカテッリが左方向へトラップした瞬間とボナベントゥーラへとパスを出した瞬間のモンテッラに注目してください。

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なぜこのようなアクションになったかというと、このカウンターのシーンは勿論のこと相手陣内に押し込んだときでも「サイドに密集→逆サイドに展開」はスソやボナベントゥーラの質的優位を活かす最大の方法です。このシーンで言えば、ボナベントゥーラ、カリニッチで左サイドに密集させている状態なのでロカテッリに求められた役割は逆サイドのスソへと展開することでした。

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スソへと展開できればより大きなスペースでスソがボールを運ぶことができ、彼がフィニッシュまでいけなくてもエリア内に入ってくるカリニッチやボナベントゥーラへと良質なクロスを上げることで左右に振られたナポリはマークしづらい状態なので得点に近づけた可能性が高いです。しかしロカテッリは再び同サイドのボナベントゥーラへとボールを出してしまったことで、結局ボナベントゥーラにはスペースがなくスローインになってしまい、カウンターの機会を逃してしまいました。この試合前半のインサイドハーフ2人(ロカテッリとケシエ)は、効果的なサイドチェンジができずにチーム全体の攻撃が停滞してしまっていました。唯一その役割をこなしていたのはこの試合良いパフォーマンスを見せていたアンカーのモントリーヴォでした。

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実際後半のミランはこのサイドチェンジを意識してできるようになり、左サイドのボナベントゥーラがフリーで仕掛ける場面を作り出すことができていました。とても残念なのは、そのボナベントゥーラがクロスの質や1対1の質を確保できずにチャンスを潰してしまっていたことです。右サイドのボリーニもクロスの質が低くチャンスを作り出すことができませんでした。

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先ほども言ったようにこの試合のモントリーヴォのパフォーマンスはポジティブなものでしたが、やはりスタミナ不足で後半15分くらいからすでに体力的に厳しそうでした。ナポリのカウンターを受けたシーン。ネガトラの動きが悪く中盤の空洞化によって、上がってくるジエリンスキをミランの中盤は捕まえられません。

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インシーニェからジエリンスキ、ジエリンスキからメルテンスへ。ジエリンスキに対応するためにボヌッチが前へつり出されたため、スペースが生まれてしまっている。

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再びジエリンスキを使われ、完全フリーになったジエリンスキのゴールでナポリが2点目を決めた。

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後半アディショナルタイムロマニョーリのゴールで1点を返したミランでしたが、そのまま試合終了。ミランは今シーズン6敗目。

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ディフェンス陣の個々のパフォーマンスは向上しつつありますし、ここから年内は強敵との試合はないので全勝するくらいの気持ちで戦ってほしいですねー。僕はミランを応援しているので。(そろそろ負け試合を記事にするのがしんどくなってきた)

イタリア、W杯出場できず

ロシアW杯予選プレーオフスウェーデンに合計0-1で敗れたイタリア代表は、2018年ロシアW杯に出場できないことが決定しました。

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もはや悲しみしかありません。イタリアがW杯に出場できないなんて、最悪にも程があります。スペインに完敗したあたりから「これ、ちょっとやばくない?」と思っていたので、できるだけ静観していたのですが、まさか本当に出場できないとは。結果を出せていないのはモンテッラも同じですが、ヴェントゥーラにはほとんど希望を持てませんでした。総合的なテクニックでスペインやドイツに劣っているのは事実ですが、それでもクラブで活躍する個性ある選手たちを間違った起用法で混乱させて、まったく機能しないシステムを修正できなかったのは非常に残念です。チームを作り上げていく時の大前提として、チームの強みと弱み、選手同士の関係性を理解していちばん機能するシステムを当てはめることが大切で、特に代表監督であればそこが最も大きな仕事のはずです。本当に残念です。

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これからは長期的な視点でカルチョ復権を目指していくべきだと思います。スペインにしてもドイツにしても、一度挫折を味わったからこそ、協会、監督、選手、国民全員が団結して今があります。W杯に出場できない悔しさを前進していくための糧にしてもらいたいです。

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ミランにいる若手選手たちも将来的にイタリア代表で活躍する姿を見せてもらいたいところですが、まずはクラブで全力でプレーをして、焦らずに成長していってもらいたいですね。

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最後に、スウェーデンはW杯出場おめでとうございます。見事なパフォーマンスでした。

W杯予選プレーオフ1stレグ クロアチア - ギリシャ

クロアチアは予選グループステージで対トルコ戦を観たときは、あまりレベルの高い試合ではなかったけど、プレーオフにまわったギリシャとの試合はとても良いサッカーだった。ゴールを決めたカリニッチも素晴らしいパフォーマンスだったけど、やはりモドリッチのプレーが最高だった。セリエAでもイタリア代表でもないけど、暇になったしクロアチアの2点目のシーンだけをピックアップしてめちゃめちゃ簡単になんとなく書いてみた。

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・カリニッチを活かすモドリッチのポジショニング

クロアチアはこの試合、ギリシャの左サイドを何回も崩すことに成功していますが、モドリッチのポジショニングが鍵となっていました。

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トップ下のモドリッチは攻撃時、かなり自由に動いていました。ヴルサリコの攻撃性を考えると、彼を高い位置にポジショニングさせたいので、このシーンではモドリッチがSBの位置に下がってビルドアップに参加しています。ちなみに右サイドでモドリッチ、ヴルサリコ、クラマリッチ、カリニッチが密集することで逆サイドで1対1に強いペリシッチを浮かせることができています。試合中はさらにペリシッチも中に絞り、両SBをフリーにさせることができていました。

クロアチアの先制点はモドリッチとカリニッチのプレスによってPKを誘発して、モドリッチがPKを決めましたが、2点目もカリニッチとモドリッチの関係性が起点となった右→中→左→中という完璧な崩しでした。

カリニッチがポストになり、左サイドに展開され、最後はクロスに対してカリニッチが再び反応して決まったゴール。今回はカリニッチにボールが入った瞬間に注目しました。

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下りてきてボールを受けようとするカリニッチに対して、中央を使われたくないギリシャは6番のツィオリスがしっかりと付いているように見えます。ただその近くにモドリッチもいるのがポイントです。

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当然ギリシャモドリッチにボールを持たれると怖いわけで、特にこの位置でモドリッチをフリーにさせたらギリシャからしたら一気にピンチ、クロアチアからしたら大きなチャンスになります。そんな存在のモドリッチが、カリニッチの横でフラフラと立っていることで、カリニッチにボールが入った瞬間、ツィオリスモドリッチのほうに動いてしまっています。代わりに22番のサマリスがボールを奪いにいきますが、カリニッチの得意技であるワンタッチのポストプレーによってペリシッチにボールが渡り、そこからサイドに展開されました。最後のゴール前でもクラマリッチペリシッチによってカリニッチはフリーでニアに飛び込めています。モドリッチのただ立っているだけに見えるポジショニングによって、カリニッチの質的優位を活かし、チーム全体で左サイドをフリーにすることができていたシーンで、ギリシャの脆さもありましたが素晴らしいゴールでした。(試合のハイライト動画等ではボールがサイドに渡って仕掛けるところからシーンが始まるものばかりだったので、少し勿体無いような気がします…)

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僕がカリニッチとミランに期待しているプレーのひとつが、このようなゴールです。チームとしての出来が悪いとストライカーのゴール数も少なくなるのは、今シーズンのベロッティを見てもわかるように当たり前なので、少しでも早くチームとしての練度を上げていって、カリニッチだけでなくA・シウヴァにもクトローネにもたくさんのゴールを決めて欲しいですね。

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そしてモドリッチは本当に素晴らしい選手で、単純なテクニックだけでなくポジショニング、プレスの質などほぼすべてがハイレベルで異次元。幼少期からのミラニスタという話もあるので、キャリア最後の挑戦としてぜひミランに…。

気が向いたら他の試合のことも書きたい。というか、ほんとにイタリア頑張れ。

サッスオーロ戦のロカテッリ

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ここ数試合良いパフォーマンスを見せることができていなかったロカテッリですが、サッスオーロ戦の後半19分にチャルハノールと交代で出場すると、デビューしてからここまでメインポジションとしてプレーしていたアンカーの位置ではなく、チャルハノールと同じポジションでプレーしました。これまでにアンカーよりも前でプレーしたことはありましたが、サッスオーロ戦ではスソと一緒にカリニッチの後ろでプレーしており、これまでで一番ゴールに近いポジションでのプレーだったと思います。

・試されるロカテッリ

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ロカテッリは以前から『アンカーよりもインサイドハーフのほうがいい』という意見が多く見られました。しかしモンテッラはアンカーの位置で起用し続けてきました。もちろんロカテッリにアンカーの選手としての才能を感じて起用していたというのもありますが、これにはチーム事情も絡んでいます。昨シーズンにロカテッリが台頭してきたのは、モントリーヴォの低調なパフォーマンスと大怪我があったからですが、そもそもモントリーヴォが長期離脱したアンカーのポジションは、ロカテッリともともとアンカーの選手ではないソサしかいませんでした。選手層に問題があったわけですね。そして今シーズン、ビリアが加入したことでアンカーの2番手をモントリーヴォと争うはずでしたが、相変わらず良くないパフォーマンスを見せるモントリーヴォをつきはなすことができず、セリエAでは第1節以降スタメン出場がありませんでした。そんな中、もともと選手層の薄いウイングともインサイドハーフとも言えるポジションではチャルハノールが不調、ボナベントゥーラは負傷離脱を繰り返しています。過密日程のチームでチャルハノールがすべての試合に出場することはできないので、まずはモントリーヴォがそのポジションで試されました。しかし"そこまで悪くはない"くらいの手応えしかありません。そこでとうとうサッスオーロ戦でロカテッリが試されたのではないかと思います。アンカーもインサイドハーフも出来る選手がいるとありがたいですしね。というわけで、サッスオーロ戦のロカテッリのプレーを少しだけ振り返ってみます。

サッスオーロ戦のプレー

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まずミランのカウンターのシーン。アンカーのポジションならあり得なかった位置でロカテッリがボールを運んでいます。サッスオーロのディフェンスは4人、ミランも4人と数的同数の状態。

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カリニッチが裏を取る動きでディフェンダーを釣ると、そのスペースにスソが入ろうとしています。簡単にカリニッチに出すこともできますが、ロカテッリはより危険な位置であるスソへとパスを出します。

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わずかにパスが合わず、チャンスにはなりませんでした。しかし良い選択だったと思います。

次にサッスオーロ戦のロカテッリで個人的にいちばん好きだったプレー。

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右サイドを密集させてから左サイドへ展開しようとするシーン。ロカテッリは右サイドでのポゼッションに参加しています。

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右サイドに展開されケシエがサイドでボールを持つと、ロカテッリがディフェンダーを釣るオフザボールの動きでボリーニをフリーにします。ボリーニは後ろに戻して組み立て直そうとします。

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モントリーヴォにボールが渡ると、ロカテッリはこの位置でボールを貰います。

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ミドルシュートにそれなりの魅力があるロカテッリはシュートを選択しました。キーパーの正面に行ってしまいましたが、このシーンはオフザボールの動き、ポジション取り、シュートの面でいいプレーでした。ポジションを上げた結果、こういうプレーを見ることができています。

最後にチームとしてもいいプレーだったシーン。

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中央にカリニッチ、スソ、ロカテッリが密集。モントリーヴォからカリニッチへパスが入ると、ロカテッリが横でボールを受けます。

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中央にサッスオーロのディフェンスを密集させてから、ロカテッリがサイドへ展開。結局ボリーニはシュートまで持ち込みました。局面的ではありますが、見事なポジショナルプレーでした。

・今後ポジションはどうなる?

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サッスオーロ戦のロカテッリは"素晴らしい"とまではいかないものの、わりとポジティブなプレーでした。さらにチャルハノールはレヴァークーゼン時代に植え付けられたプレスの質を評価されていましたが、ロカテッリも相当荒いものの気合の入ったプレーとわりとうまいスライディングが評価できます。まだメインとなるポジションを変えたとは言えませんが、今後このポジションを何回か試されるであろうことは確かだと思います。もちろん、モンテッラが監督を続けることが前提なのですが…。

 

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ロカテッリのことが好きすぎるから、今シーズンもカラブリア、ドンナルンマ、クトローネらと共に頑張ってほしい。