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ガットゥーゾの戦術的勝利

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リーグ前半戦、モンテッラミランサンプドリアに完敗した。ガットゥーゾが監督に就任して、最初こそ躓いたものの、年明けから好調無敗状態が続いている。正直ガットゥーゾ就任に関して、セードルフインザーギの失敗、ガットゥーゾの監督キャリアなどを考えると、モンテッラに期待していた分ショック状態だった自分は懐疑的な見方をしていた。というより失敗がとんでもなく怖かった。またミランのレジェンドがミランから離れていってしまうのではないかと。しかし、そんな不安を吹き飛ばすほどガットゥーゾは驚くほど柔軟に戦略を立てることのできる人物であり、もちろんわかってはいたがあり得ないほどの情熱ももった監督だった。順位上のライバルであるサンプドリア相手に戦術的に完勝した見事な試合を振り返る。

・基本戦術とサンプドリア対策

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ガットゥーゾミランはとてもシンプルに攻めるチームで、それも非常に洗練されたものだ。

①後方からのビルドアップで、まずはCB→SBへと繋ぐ

②SBは余裕がある場合、縦のウイング、もしくは斜めのインサイドハーフへとパスを入れる。余裕がなければもう一度CBへと戻すかアンカーへ戻してやり直す。

③ウイングやインサイドハーフへと渡ったら、プレス回避の為にまずサイドチェンジを試みる。

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④サイドチェンジに成功したら、ボールを受けたウイングに時間とスペースを与える為にSBが追い越していく。サイドチェンジを受けたウイングはSBを使うか、自分でクロスを上げるか、シュートをうつかの選択肢の中から最適な方法を選択する。

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これが基本的なパターンで、スソとチャルハノールというテクニックのあるウイングに時間とスペースを与え、頭で合わせるのが得意なボナベントゥーラは左サイドの崩しに参加しつつ、逆サイドからのクロスに反応する。すごくシンプルだが、それぞれ選手の個性を活かすことができる。

ここ数試合で驚かされたのは、しっかりと対策をたてた守備戦術だ。サンプドリア戦でも確実に機能していた。

サンプドリアのジャンパオロは徹底的に4-3-1-2にこだわる監督で、中盤の底にいるトレイラから攻撃は組み立てられる。サンプドリアのCBがボールを持つと、ミランインサイドハーフがプレスをかけ、クトローネは下がってトレイラをケアする。

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SBにボールが渡るとビリアがサンプドリアインサイドハーフをケアしつつ、ウイングとインサイドハーフ(ボナベントゥーラとチャルハノール)でプレスを強める。クトローネは依然としてトレイラをケアする。

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ジャンパオロは4-3-1-2の中央攻撃にこだわっているからボールの出しどころがない。トレイラにはマークを変えることなくクトローネが常に付いているから、サンプドリアは攻撃を組み立てられない。もしクトローネがCBにプレスをかけ続け、インサイドハーフが常にトレイラをケアすることになれば陣形に乱れがおきやすくなる。このプレスの方法では、ガットゥーゾが監督になって変わったことのひとつである運動量が活きてくる。

さらに面白かったのは、ジャンパオロの徹底的な中央攻め対策としてサンプドリアの2トップをSBがマークするという方法だった。

R・ロドリゲスがボール奪取したシーンだが、SBが2トップをマークして、その後ろでCBがカバーする、厚みのあるディフェンスだ。

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SBが2トップを見ているから、R・ロドリゲスがこんな位置にいることも。

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モントリーヴォとクトローネの呼吸が合わず、フェラーリからガストン・ラミレスへの楔が出される。

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が、今季安定感抜群なロマニョーリが簡単にインターセプト。危ないシーンはCBが勢いよく飛び出してケアする。

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何度も言うがジャンパオロはとことん4-3-1-2の中央攻めにこだわり、完璧に対策されたミランに対してもその姿勢を変えなかった。この試合、特に前半のサンプドリアはほとんどチャンスがなかった。

そして得点シーンはビリアがボール奪取してチャルハノールへと預けたところからはじまる。やることは明確になっているからチャルハノールは迷わずスーパーエゲツない左足でのサイドチェンジ。

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サイドチェンジが成功するとカラブリアはスソを追い越し、チャルハノール、ボナベントゥーラはエリア内へ。クトローネとチャルハノールの動きによってサンプドリアのDFはひきつけられ、ボナベントゥーラはフリーになれる。

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カラブリアからスーパーエゲツない高精度クロスが上がり、フリーのボナベントゥーラが合わせてゴールが決まった。ガットゥーゾミランに落とし込んだ、とても合理的な攻め方によって生まれたゴールだった。

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・まとめ

モンテッラ期のミランをピッチ内の現象のみで語るのはナンセンスだ。今季のミランは特殊な夏の過ごし方をしており、そのことを踏まえて語るには多くの文脈が必要になることは明らかだ。しかしモンテッラはチームマネジメントに失敗し、チームが混乱状態になったことも明らかだ。そんなミランを驚くほどシンプルに、とても合理的に、そして情熱を与え、立て直したガットゥーゾ監督の手腕は見事だ。上位陣の不調もありCL権獲得に望みも出てきて、ベスト16に進んだELも含めて、残りのシーズンが楽しみになってきた。とは言っても、まだまだ攻撃のパターンが少ないミランが今後対策される可能性もあり、浮わついたり気をぬくことはできない…。