ヨーロッパリーグ グループD ミラン-オーストリア・ウィーン
グループ突破がかかった試合。いつも通りスソ不在時はオーソドックスな3-5-2の布陣。
前回対戦した時はラツィオ戦大敗後に3バックへと移行したタイミングで5-1の勝利でした。オーストリア・ウィーンの守備の緩さは国内リーグではあり得ないので参考にならないみたいなところはありますが、今回は『前で奪う』こと、そしてナポリ戦で指摘した『逆サイドに展開する』ことをポイントにして、すごく簡単になってしまいますが書きます。
・前で奪うこと(奪い返すこと)
先制点を奪われたミランの同点シーン。いつものようにケシエがバイタルエリアで雑なパスをしてボールを奪われる。
ムサッキオがここでボールを奪い返し、サイドにいるボリーニへ。
逆サイドのR・ロドリゲスが完全フリー。ここまで完璧にフリーになれるのは相手の守備がめちゃめちゃ緩いこともあるが、瞬時にボールを奪いサイドに展開したことで相手はボールウォッチャーになった。
ちなみに5点目のシーンでも、相手のスローイン時サイドに密集させてボールを奪うとロカテッリ→クトローネ、そしてアントネッリ→クトローネのワンツーで完璧に抜け出してゴール。モンテッラのミランが前からボールを奪いに行く(厳密に言うと選択肢を奪う)スタイルなのは明らかで、4-3-3時代に取り入れていたポジショナルプレーでも重要なものだった。特にこの試合みたいに格下相手では必然的に敵陣に押し込んでプレーするから、ボールをすぐに奪い返して再びポゼッションする必要がある。僕も便利だからよく使うが、『ポゼッションサッカー』や『カウンターサッカー』というように簡単に分けることはできず、ポゼッション志向のミランによる見事なプレスからのショートカウンターでのゴールだった。
・サイドに展開すること
ミラン3点目のシーン。ビリアから左サイドのR・ロドリゲスへと展開される。よくボヌッチがやってくれるパターン。
ハーフスペースにいるR・ロドリゲスからA・シウヴァの頭を狙ったボールが入り、ボールは後ろにそれる。
ボリーニが追いついてクロス、クトローネが頭で決めた。ビリアが展開したところから考えると、中央→左→右→中央と展開されたから、最後のクトローネを誰も見ることができていない。よりコンパクトなディフェンスをしてくるチーム相手にこうした展開ができるのは、ここ最近のボヌッチ、ビリア、ナポリ戦のモントリーヴォ、R・ロドリゲスなどで、さらにロカテッリやケシエが出来るようになれば嬉しい。
・クトローネとA・シウヴァ
特に後半のクトローネとA・シウヴァのパフォーマンスは素晴らしかったです。リーグ戦でカリニッチがスタメンで出場しているのは、この3人の中ではいちばんワントップの役割をこなせる、A・シウヴァはローマ戦以外はパッとしないパフォーマンス、実質1年目のクトローネ起用は慎重にならなければいけない、などなど他にも様々な要素があってのことです。そしてカリニッチがいることで2人の競争意識もかなり高まっています。A・シウヴァはもっと試合に出たいと語っており、個人的にもシーズン中にカリニッチをベンチに座らせるくらい彼らが活躍してくれるのがいちばん嬉しいですが、A・シウヴァはほとんど何もできていないリーグ戦で結果を出す必要がありますね。心配なのは、「クトローネとA・シウヴァの2トップにするべき」という論調がメディアやファンの中に出てきており、またコロコロとシステムを変えさせるのか?というところです。クトローネとA・シウヴァの2トップはわりと機能する可能性も見えますが、スソを外して2トップにして結果が出なければどうせまた「なぜスソを使わないんだ」なんて論調になるだろうし、いろいろ難しいですね。2トップにするならするで、とにかく最低でも年内は同じ形で戦って結果を残して欲しいですね。
そしてクトローネはワンランク成長している印象です。本当にベロッティみたいな選手になりそうですね。毎回のようにエンブレムにキスするのも最高ですね。めちゃめちゃ好きだ。
ELで格下相手だけど大勝できたのは良かった。明日はもうトリノ戦なので忙しい。ベロッティが怪我明けから不調だし、トリノには絶対に勝っておきたい。頑張れミラン。