セリエA第13節 ナポリ - ミラン
ここ数年勝てるイメージがまったく湧かないアウェイでのナポリ戦。ミランは4-3-3改である3-4-2-1でフォーメーションは定着してきた。今日はモントリーヴォがアンカーに入り、ロカテッリはインサイドハーフ起用。
ナポリは前半からセオリー通り3バックの穴であるWB裏、CB横のスペースをインシーニェが使ってきます。
前半31分、ナポリは自陣深くでジョルジーニョがボールを持つと縦のメルテンスへ入れてきます。
本来なら中盤にマークを受け渡したいところ(実際何回かはそうしていた)ですが、ネガトラの動きが悪くムサッキオが引っ張り出されます。
そうするとボリーニの裏に広大なスペースができてしまい、簡単に裏へと通されてしまいました。このシーンでは最後ハムシクのシュートがキーパー正面にいってしまい、ゴールを奪われることはありませんでしたが、そのあとすぐに同じ形で崩されてナポリに先制点が生まれました。
アルビオルからメルテンスへと縦にパスが出ると、ムサッキオが引っ張り出されています。
「これぞナポリ」というメルテンス→ジョルジーニョのレイオフから、ムサッキオがいない広大な裏のスペースに走る3人目のインシーニェへ。
一度はオフサイド判定になったもののVARでゴールが認められてナポリが先制点を取りました。とても素晴らしいゴールでした。
前半のミランの攻撃からこのシーンを取り上げます。ナポリに対してカウンターを仕掛けたいシーンです。
ボナベントゥーラがドリブルで前に運びます。
ボナベントゥーラからカリニッチへ、カリニッチからロカテッリへ落としました。
ロカテッリは左方向へトラップ。再びボナベントゥーラへとボールを渡しました。このロカテッリが左方向へトラップした瞬間とボナベントゥーラへとパスを出した瞬間のモンテッラに注目してください。
なぜこのようなアクションになったかというと、このカウンターのシーンは勿論のこと相手陣内に押し込んだときでも「サイドに密集→逆サイドに展開」はスソやボナベントゥーラの質的優位を活かす最大の方法です。このシーンで言えば、ボナベントゥーラ、カリニッチで左サイドに密集させている状態なのでロカテッリに求められた役割は逆サイドのスソへと展開することでした。
スソへと展開できればより大きなスペースでスソがボールを運ぶことができ、彼がフィニッシュまでいけなくてもエリア内に入ってくるカリニッチやボナベントゥーラへと良質なクロスを上げることで左右に振られたナポリはマークしづらい状態なので得点に近づけた可能性が高いです。しかしロカテッリは再び同サイドのボナベントゥーラへとボールを出してしまったことで、結局ボナベントゥーラにはスペースがなくスローインになってしまい、カウンターの機会を逃してしまいました。この試合前半のインサイドハーフ2人(ロカテッリとケシエ)は、効果的なサイドチェンジができずにチーム全体の攻撃が停滞してしまっていました。唯一その役割をこなしていたのはこの試合良いパフォーマンスを見せていたアンカーのモントリーヴォでした。
実際後半のミランはこのサイドチェンジを意識してできるようになり、左サイドのボナベントゥーラがフリーで仕掛ける場面を作り出すことができていました。とても残念なのは、そのボナベントゥーラがクロスの質や1対1の質を確保できずにチャンスを潰してしまっていたことです。右サイドのボリーニもクロスの質が低くチャンスを作り出すことができませんでした。
先ほども言ったようにこの試合のモントリーヴォのパフォーマンスはポジティブなものでしたが、やはりスタミナ不足で後半15分くらいからすでに体力的に厳しそうでした。ナポリのカウンターを受けたシーン。ネガトラの動きが悪く中盤の空洞化によって、上がってくるジエリンスキをミランの中盤は捕まえられません。
インシーニェからジエリンスキ、ジエリンスキからメルテンスへ。ジエリンスキに対応するためにボヌッチが前へつり出されたため、スペースが生まれてしまっている。
再びジエリンスキを使われ、完全フリーになったジエリンスキのゴールでナポリが2点目を決めた。
後半アディショナルタイムにロマニョーリのゴールで1点を返したミランでしたが、そのまま試合終了。ミランは今シーズン6敗目。
ディフェンス陣の個々のパフォーマンスは向上しつつありますし、ここから年内は強敵との試合はないので全勝するくらいの気持ちで戦ってほしいですねー。僕はミランを応援しているので。(そろそろ負け試合を記事にするのがしんどくなってきた)