【16-17シーズンを振り返る】ペスカーラ編
魅力的なサッカーをしたチームが試合に勝つとは限らない。グアルディオラのバルセロナのように華麗な中央崩しでゴールに迫るチームもあれば、それに対してスペースを消してロングボール1発にかけるようなチームもある。今シーズン、限られた戦力で魅力的なサッカーを展開し、多くのセリエファンに期待を持たせながら、未勝利が続いていたチームがある。セリエBに降格が決まってしまった、そのチームを振り返る。
・伴わない内容と結果
4年ぶりに昇格を果たしたペスカーラは、その立役者であったラパドゥーラがミランに移籍。しかしクリスタンテやシモーネ・ぺぺ、アクイラーニやバエベックなど、面白い存在になりそうな補強を進めた。監督はかつてミランなどで活躍した元イタリア代表のマッシモ・オッドだ。開幕戦の相手は格上のナポリだったが、前半で2点をリードするなど素晴らしい試合をみせた。結局後半、同点にされてしまうが、なにか期待せざるを得ないものを感じた試合だった。第2節サッスオーロ戦は試合には負けたのだが、サッスオーロの選手登録不備により3-0の勝ち試合になった。そして第3節のインテル戦、デ・ブールのインテル相手に勇敢な試合をして1点リードする展開。しかしデ・ブール怒りのFW3枚投入が当たり、そこから2失点。開幕3試合で魅力的なサッカーを披露しつつも、ピッチ上では勝てない試合が続いた。
・未勝利のまま2016年終了へ…
ファンに期待を持たせたチームは、しかしまったく勝てない時期が続く。トリノ、ジェノア、サンプドリアなどに引き分けるが第9節ウディネーゼ戦から第14節のローマ戦まで6連敗。降格圏争いをするライバルになるクロトーネやエンポリにも勝てず、2016年を未勝利のまま終えることになった。
・オッド、涙の解任。ゼーマンの逆襲か?
年が明けてもペスカーラは勝てないどころか、6試合で22失点の6連敗。第24節のトリノ戦では5失点したチームを涙を浮かべながら眺めるオッドの姿が映された。ペスカーラをセリエA昇格に導き、シーズン序盤から魅力的なサッカーを目指し続けながらピッチ上で1勝もできないまま、マッシモ・オッドは解任となった。後任に選ばれたのは5年ぶり2度目の就任になる、超攻撃思考の70歳ベテラン監督ゼーマンだった。ゼーマン・ペスカーラの初戦、攻撃的サッカーを展開しジェノア相手に5点を奪い、今シーズン初勝利を挙げた。ここから残留に向けてゼーマンの逆襲がはじまるかもしれなかった。
・それでも勝てなかったペスカーラ
ゼーマンによってチームが生まれ変わったかのようにみえたが、ジェノア戦後4連敗。ミランとエンポリ相手に引き分けを挟んで、その後も5連敗。ローマに4失点大敗をした時点で5試合を残し、セリエBへの降格が確定してしまった。まだ試合を残しているが最下位での降格になる。
残酷なほど勝てなかったペスカーラだが、前回昇格した時はヴェラッティやインモービレ、インシーニェなどが活躍し、今回は魅力的なサッカーを展開するなど、インパクトは大きい。またすぐにセリエAに戻ってきてもらいたいチームだ。そして、オッド監督はもう一度セリエAで見てみたい。